軽減税率制度導入後の農家の方の消費税の留意点

農業を営まれている方の消費税の留意点
今回は農業を営まれている方に特有の消費税の取扱いの留意点のご説明をしたいと思います。
1.消費税の経理は総額で
農家の方でJAさんなどに委託して販売をしてもらっている方は多いかと思います。JAさんで販売後、委託手数料を差し引いた金額が売上代金として振り込まれます。
例えば売上金額が10,000円で販売手数料が2,000円だったとします。この場合に振り込まれる金額は8,000円です。
消費税の計算においては手数料を差し引いて振り込まれた場合には、売上を10,000円、販売手数料2,000円として原則経理を行わなければなりません。
所得税や法人税の計算においては所得の金額や利益の金額は、手取り額で計算しても変わらないためあまり気にされていない方も多いかと思いますが、消費税は特に課税事業者か免税事業者かの判定においては大きく影響してきます。
2.農家の方の特例
一方農家の方がJAさんを通じて委託販売を行う場合には、手取り額である純額での計上がみとめられていました。
3.軽減税率制度導入後の留意点
本年10月より上記2の方法は採用することが出来なくなりました。その理由は売上と手数料にかかる税率が異なるからです。農作物の販売は食品の販売なので、8%の税率が適用されますが、手数料は10%の税率が適用されます。税率の異なるもので相殺することは出来ないため、今までの純額での計上が出来なくなりました。
4.計上方法の変更による影響
例えば基準期間の売上が10月以降も今までの方法で計算して980万円になったとします。しかし、正しい計算方法で行った場合には1,010万円になったとします。この改正を知らなければ今までの方法で計上して免税事業者と誤って判断してしまう恐れがあります。申告納税の義務があるのに行っていなければ、無申告加算税や延滞税がかかることがございます。
これは免税事業者かどうかの判定だけでなく簡易課税の適用が出来るかどうかの判断にも関わってきます。

以上、農家の方特有の改正についてご説明しました。影響してくるのは令和3年分くらいが最初になるかと思われますが、是非とも押さえておいて欲しいポイントです。

松山市の税理士 山中敏正税理士事務所

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です