給与と外注費の違いについて

    今までに税金について色々とご相談を受けることがありますが、その中に以下のようなものがあります。それは、昨年までは給与として支払いを受けていたのに、今年からは支払い先から外注費扱いにするので確定申告をしてくださいと言われてどうしたものかというご相談です。お話の内容を伺ってみるとお仕事の内容は全く変わっていないのに外注費扱いとされてしまったというものです。以降外注費と給与との違いや税務その他への影響についてご説明してみます。

1.外注費と給与との違い
     詳細な点は省略して分かりやすくご説明します。これらの判断は難しい点もありますが、給与は① 場所や時間の拘束を受ける ② 他の人の代替を受けない ③ 成果物が完成しなくても責任を負わない ④ 必要な材料などの支給を受けるなどの条件を満たしている必要があります。
     外注費側から見てみると①は期限に間に合えば良いので時間の拘束は受けないこととなります。場所はケースバイケースでしょうか。②については契約にもよりますが再委託などによって他の人が完成させることも可能です。給与については他の方が出社しても代わりとはなりません。③については外注の場合は成果物が完成しなければ報酬はもらえません。④については契約にもよりますが、材料等は外注先が調達します。
     他にも論点はありますが、これらの内容を総合的に判断します。

2.なぜ給与だったものが外注費とするように依頼されるのか?
いくつか考えられる理由を挙げてみます。


(1) 消費税の計算において給与は仕入税額控除の適用を受けられませんが、外注費であれば受けることができます。


(2) 給与であれば年末調整等の事務手続きが必要となりますが、外注費は給与ではないので不要となります。


(3) 税金とは異なりますが、給与であれば社会保険や労働保険の加入が必要となるケースが多いと思われます。この場合会社など雇用主の負担が発生します。外注費であれば社会保険は自分で加入することとなるため、雇用主の負担が発生しません。

3.問題点
     前年まで給与とされてきたものが、実質的にほとんど変わっていないのに外注費とされている場合は、税務調査で指摘される可能性があります。特に消費税の計算の誤りとされた場合は追徴される税金が高額となることが考えられます。また、今まで年末調整で一年間の税金の精算が終わっていた方が急に確定申告をするように言われても混乱されると思います。
    支払いを受ける方から支給者に質問するのは今後の関係を考えると躊躇われるかもしれませんので悩ましい問題ですが、従業員を雇用されている方は、本当に外注費扱いで良いのかどうかについて事前に確認する必要があるかと思います。
    なお、支払いを受ける側から外注費扱いにして欲しいという要望がある場合もあるそうです。社会保険料などが控除されないため手取りが増えるという理由からということを聞いたことがあります。しかし、社会保険料は自信が国民健康保険や国民年金に加入すると全額自己負担ですが勤務先での社会保険では半額を勤務先が負担してくれますし、厚生年金の場合は将来の受け取り額が大きく変わってきます。色々な面から考える必要があると思います。

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