競馬のハズレ馬券は経費になるのか?

今回は税金に関する裁判の判決について書いてみたいと思います。題名にもありますが、競馬のハズレ馬券が経費になるのかという点についてこの数年間でいろいろと動きがありました。もともとは競馬の払戻金は一時所得に該当し、一時所得の計算は「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額」となっていました。この場合の収入を得るために支出した金額は当たった馬券の購入金額とされており、ハズレ馬券は差し引くことができませんでした。

例えば1口100円の馬券を100枚買ったとします。そのうちの一つが見事的中して払戻金が100万円だとすると、一時所得の計算上差し引くことができる金額は当たった馬券100円分だけでした。(競馬は先輩に誘われて一度しかやったことがなく、詳しい仕組みはよくわかっていませんので仮定の金額です。)

ところが2015年に重要な判決が最高裁で出されました。論点はいろいろありましたが経費に関する点について述べます。この裁判の対象となった方は独自に開発したコンピュータソフトで自動的に馬券を大量に購入されていました。約3年で28億7千万円の馬券を購入し払戻金は30憶1千万円だったそうです。すごい金額ですね。

この件に対して国税側は払戻金に対応する馬券の購入金額だけが差し引くことができると主張しました。それまでの一時所得の計算と同じに計算すべきとしたのでしょう。これに対して最高裁ではこのケースは営利を目的とする継続行為と判断し、一時所得ではなく雑所得になると示しました。そして、ハズレ馬券は経費に該当するという判決が出されました。

その結果国税側でもこのようなケースの場合は雑所得となりハズレ馬券も経費となると定めました。

その後今後はコンピュータソフトを使わずに大量に馬券を購入されていた方についての裁判が起こりました。子の方は2005年から2010年にかけて72憶円分の馬券を購入し78憶円の払戻金を得ていたとのことでした。国税側はコンピュータソフトを使わずにこの方の判断で購入されていたので、先の裁判での判例とは異なるとしてハズレ馬券は経費とは認められないと主張していました。しかし、今月15日に最高裁で国側の上告を棄却し、このケースについても雑所得に該当しハズレ馬券は経費になるという判決となりました。

話はまだ続きます。別の方が似たケースで国税側と裁判で争っていました。この方は2008年から2010年にかけて約2憶5千万円の馬券を購入して払戻金1憶8千万円を得ていました。前の二つの例と異なり利益は出ていませんでした。この件について今月20日付で計人は認められないという1、2審判決に対する上告を棄却し国側の勝訴が認められました。

簡単にまとめてみますと

1つ目の判決・・・コンピュータソフトを利用しての自動購入で利益が出ていた。

2つ目の判決・・・コンピュータソフトは利用していなかったが利益が出ていた。

3つ目の判決・・・2と同様にコンピュータソフトは利用していなかったが利益は出なかった。

あくまでも私見ですが、利益が出ていたかいなかったかで判決が異なったように思われます。私はまだまだ勉強不足ですが、もし利益の有無で扱いが異なっていたのだとすればこれでいいのだろうか?という気がします。また、今回は競馬でしたが、競輪や競艇はどうなるのだろうかという疑問がわいてきます。

今後税法の学者の先生方の解説などがあればじっくりと考えてみたいと思います。

本文はわかりやすさ重視のため、やや正確性に欠ける点があるかと思いますのでご参考程度でお読みいただければと思います。しかし、税法に限らず法律の解釈は非常に難しいと痛感した次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です