消費税の複数税率制度開始まであとわずか!

令和元年10月1日より消費税率が10%に引き上げられるとともに軽減税率(8%)の適用も開始します。既に準備は完了という法人や個人事業主の方であれば実際に開始してからの想定外の事由に対処というところかと思います。しかし「まだ準備が出来てない。」「何が必要なのかイマイチわからない」「飲食料品の販売や新聞の販売代理店じゃないから関係ない」という方もいらっしゃるかもしれません。そこでまず10月1日からすぐに影響することからご説明したいと思います。

1.飲食料品や定期購読契約の新聞の販売(週2回以上発行されるもの)のある事業者の方(8%が適用される売上のある方)

売上等の相手先に発行する請求書等(領収証や納品書など)に「軽減税率対象のものについてはその旨」「軽減税率対象の税込売上金額の合計額」の記載が必要となります。簡単な例を挙げてみます。

領収証←請求書や納品書などのどれかが満たしていればOKですので、すべての書類について上記の項目を記載する必要はありません。ただし、取引の相手方にどの書類が該当するのかを知っておいてもらう必要があります。

国税太郎様←取引の相手先名。小売業、飲食業やタクシーの運転手さんなど不特定多数の相手にレシートなどを交付する場合には省略可能です。

取引の年月日←今までと同じです。

取引の内容←今までと同じです。

以下、追加事項です。お酒と野菜を販売したとします。

発行者の名前←ご自身の法人名や氏名です。これも今までと同じです。

お酒 1,100円

野菜 540円 ※ ←8%適用のものに※を付ける方法にした場合

合計 1,640円

うち8%適用売上 540円←今回から加わったものです。

※のものは軽減税率対象品です。←記号を付けるだけでなく、説明も必要です。

注意! 免税事業者の方であっても取引の相手から記載を求められることもあります。この記載は課税事業者であるか免税事業者であるかは関係なく適用されます。

2.課税事業者の方が仕入税額控除を受けるために必要なこと

上記1の要件を満たした請求書等を保存するとともに、帳簿にもその旨の記載が必要です。これは仕入税額控除の計算において原則となっている方に限ります。簡易課税の方は直接には影響しないため不要です。

3.受け取った請求書等について、今回追加となった項目の記載がない場合

この場合は「追記」と言って8%対象のものが分かるようにすることと、8%適用のものの合計額は交付を受けた側で追加で記入できるようになりました。ただし追記できるのは今回の快晴の二つの項目だけです。当たり前ですが、取引金や日付などは追記は出来ません。

4.10%の売上しかない方

現在の売上に軽減税率対象のものがなければ、上記1の記載は不要です。しかし、消費税の仕入税額控除で原則を採用している方は仕入れたものについては原則として2は必ず必要となります。簡易課税の場合は不要となります。

以上、10月1日をむかえるにあたって絶対に必要なものを挙げてみました。

補足 小売業の方や飲食店などで8%適用のものと10%適用のものとがある場合には消費税の計算だけでなく、お客様に対しても適用税率の違いについての表示やイートインコーナーのあるお店ではお持ち帰りなのか飲食されるのかの確認方法なども準備しておく必要があります。

表示の例などについては国税庁のホームページから資料をダウンロードすることができるため参考になされると良いと思います。

また、商工会議所も全業種向け、小売業向け、飲食店向けのとても分かりやすい冊子があります。こちらも商工会議所のホームページからダウンロードできます。

あとはあくまでも個人的な意見ですが、大手スーパーやコンビニエンスストア、飲食チェーン店など同業他社はどのようにしているのかを見てみるのも参考になると思います。

注意点!!

今回消費税の標準税率が2%増加しますが、10%のものであるに関わらず「当店は消費税は8%しかいただきません。」といった表現や「増税した2%分は値引きします。」といった表現は法律違反となりますのでご注意ください。前者は消費税と言っているので明らかに違法です。しかし、後者は消費税とは言ってませんが、誰でも容易に消費税のことだとわかるため違反となります。

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