届出書をきちんと出しましょう

 本年に入り新型コロナウイルス感染症拡大による被害が広がっています。健康被害だけでなく経済にも大きな打撃を受けています。政府は数々の税務上の猶予措置、補助金、給付金、助成金により経営者へのサポートをおこなっています。

 数々の措置のうち持続化給付金の申請をなされた方も多いと思われます。できるだけ早く給付ができるように手続きもパソコンやスマートフォンを使用することにより簡素化されています。また、全国各地に予約制ではありますが相談センターも設けられています。

 私も数々のお客様のサポートをおこなっておりますが、気になった点があります。それは個人事業主の方について言えば「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出がなされていない方が少なからずいらっしゃることです。特に2019年から事業を開始なされた方については、持続化給付金の申請に上記届出書の添付が必要となっている点です。この届出書は申請の時にあわてて出せばよいわけではなく、「2020年4月1日前に提出されたものであること」が必要となっています。持続化給付金の申請のために本年の4月1日以後に提出しても、それは使えないこととなります。

 それでは、2019年に事業を開始したが届出書を提出していなかった方、提出が4月1日以後になった方は持続化給付金の申請ができないかというと、一定の救済措置がなされています。救済措置の内容は確かに2019年に事業を開始したことを証明する書類があれば、それを届出書の代わりとすることができるというものです。ただし、届出書と比べてスムーズにいかないケースも見受けられます。

 事業を開始した際の届出書は任意ではなく、事業開始後1ヶ月以内に提出することと定められています。青色申告承認申請書は期限までに提出しておかなければ、該当する年について青色申告の適用を受けることができないため、提出期限を気になされている方は多いかと思いますが、一番初めに提出が必要である「個人事業の開業・廃業届出書」はこれまでに提出がなされていなくても影響がないと考えられていた方が一定数いらっしゃるのではないかと思います。今回は持続化給付金の申請において改めて届出書の重要性が再認識されたように思います。

 事業を開始した場合には様々な届出書が必要となってきます。税理士に相談する以外にも税務署へ相談する方法もあります。現在、税務署は予約制となっているところが多いかと思います。そこで、独立開業に関する書籍を読む、インターネットで調べる方法が考えられます。事業を開始した場合の届出書については容易に調べることができると思います。用紙については国税庁のホームページからダウンロードして入手できますし、記入例なども示されています。

 今回の持続化給付金の申請に必要だからというわけではなく、事業を開始した場合には提出が義務付けられていますので、きちんと提出するようにしましょう。なお、書面で税務署へ提出する場合には必ず2部作成しておき、1部は控えとして保存しておくようにすることも必要です。せっかく届出書を提出したのに控えがなければ持続化給付金の申請に使うことができないからです。

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