個人で新たに事業を開始した場合に必要な税務上の届け出書類

個人で事業を始められた場合には各種届出が必要となります。その中から税務上必要な書類について説明したいと思います。

1.個人事業の開業・廃業等届出書

対象 個人で事業を開始されたすべての方

提出先 納税地の税務署

提出期限 事業開始から1ヶ月以内

この届出書はすべての方が対象となります。用紙は税務署又は国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。以下の書類につきましても同様です。ただし、都道府県等関係のものは各自治体のホームページ等で確認していただければと思います。

書き方については、用紙の裏側に説明がありますがわかりづらい場合はインターネットで検索すると容易に見つけることができます。税務署で入手される場合は、その場でわかる部分を記入して、わからない部分については税務署の方に聞きながら記入して提出するという方法もあります。確定申告の時期以外であれば大丈夫だと思います。

ただし、1部しか作成しなかった場合は、自分の手元に控えが残りませんので、2部作成して1部をご自身の控えとして保存するようにしましょう。

控えを保存することでどの書類を提出したのかわかる状態にしておくことが必要です。どの書類を提出したのかということは後々非常に大事になってきますので、必ず控えを保存するようにしましょう。

用紙及び書き方は以下からダウンロードできます。

2.所得税の青色申告承認申請書

対象 青色申告の承認を受けようとする方

提出先 納税地の税務署

提出期限 事業開始から2ヶ月以内(1月1日から1月15日に開業した場合は2月15日まで)

青色申告は、複式簿記等一定のルールに従って帳簿を作成することによって税務上の特典を受けられる制度です。ちなみに青色申告の承認を受けていない方は白色申告と言います。

複式簿記による帳簿の作成はややハードルが高いという方もいらっしゃると思いますが、税法上非常に有利な特典がありますし、自身の経営状況の把握にも役立ちますのでおススメです。

なお、現在白色申告でも一定の帳簿の作成は義務となっています。

青色申告の特典はいろいろありますので別の機会に詳しくご説明したいと思いますが、特に効果が大きいと思われるのが「純損失の繰越控除」でしょう。事業を開始した年から黒字であれば関係ないのですが、最初の年は設備投資や事業の準備などで経費がかかるために赤字になることも多いと思います。その場合に青色申告にして純損失の繰越控除の手続きをしておけばその年の損失を3年間繰り越すことができます。翌年は売上が増えて利益が出ても前年の損失を利用することにより大きく節税することができます。

用紙及び書き方は以下からダウンロードできます。

所得税の青色申告承認申請書(PDF/329KB)

3.青色専従者給与に関する届出書

対象 事業主の家族に働いてもらって給与を出す場合(この場合の家族を専従者と言います。)なお、白色申告の場合であっても白色専従者給与というものがありますが、金額に制限があります。

提出先 納税地の税務署

提出期限 働き始めてから2ヶ月以内(1月1日から1月15日に開業した場合は2月15日まで)。ただし、当初から予定されている場合は上記1の開業の届出と一緒に提出しておくとよいでしょう。

用紙及び書き方は以下からダウンロードできます。

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書(PDF/428KB)

4.給与支払事務所等の開設届出書

対象 従業員や家族に給与を支払うこととなった方。

提出先 納税地の税務署

提出期限 従業員を雇い入れた時や家族に給与を支払うこととなった時から1ヶ月以内。ただし、当初から予定されている場合は上記1の開業の届出と一緒に提出しておくとよいでしょう。

用紙及び書き方は以下からダウンロードすることができます。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(PDF/341KB)

5.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

対象 源泉所得税の納付を年2回にする方(ただし、給与を支払う人の数が常時10人未満の場合に限ります。)

提出先 納税地の税務署

いつから適用されるか? 申請書を提出した日の翌月に支払う給与から特例が適用されます。

絶命が前後しますが、給与を支給する場合はその金額によって一定の所得税(源泉所得税と言います。)を控除して支払います。そのときに控除して預かっている源泉所得税は原則として翌月の10日までに納付しなければなりません。しかし、給与を支払う人数が少ないのに毎月納付するのは面倒という場合は、この申請書を提出することにより、年に2回まとめて納付することができます。具体的には1月~6月までの給与から預かった分は7月10までに、7月~12月までに預かった分は翌年1月20日までに納付することとなります。7月~12月までの分が1月20日までになっているのもポイントです。年明けは正月休みもあるでしょうし何かとバタバタして気が付いたら10日を過ぎていたということがありがちです。この申請書を提出しておけば20日までに納付すればいいので余裕が持てます。

用紙及び書き方は以下からダウンロードすることができます。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(PDF/104KB)

6.その他

(1)消費税関係の届出書

消費税は前々年の課税売上(消費税の課税対象となる売上です。)が1,000万円を超える場合に課税事業者となり申告が必要となります。そのため、個人で事業を開始される場合は、開業の年から消費税の課税事業者に該当することはありません。そのため、原則として開業にあたっては特に提出するものはありません。

ただし、課税事業者になることで消費税の還付が受けられる場合などがありますが、2年間は課税事業者として申告する必要があります。提出したほうが有利かどうかの判断はかなり難しいので専門家にご相談なさるとよいでしょう。

(2)都道府県等への届出

業種によっては都道府県や市区町村への届出が必要な場合もあります。こちらについては各都道府県や市区町村へご確認なさるとよいでしょう。

今回は開業にあたっての届出関係の説明をしました。いろいろとあって面倒ですが、ご参考いただければと思います。

 

 

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