事業承継税制について 第一回

ここ数年、世間では「事業承継」や「事業承継税制」という言葉を目にされたり、聞くことが多いのではないかと思います。税務署は当然として、政府を先頭に、地方公共団体、会計事務所のホームページ、金融機関、商工会議所などでもさかんに言われているような気がします。事業の承継なので会社の後継ぎの話というくらいはイメージできるかと思いますが、詳しい内容やなぜ今急に言われているのか?という疑問点への説明まではなかなか伝わっていないのではないかと思われます。

そこで今回はこれらのうち主な項目についてざっくりと解説できればと思い説明文を作成してみました。わかりやすさに重点を置いているため正確性に欠ける部分があることと個人的な意見も多く含まれておりますがご了承ください。

 

川*^∇^) <少しでもご参考になれば幸いです。

 

<登場人物>

K先生 

川*^∇^) ・・・一応主役です。

生徒Aさん

州*´・ v ・)・・・勉強は比較的得意です。

生徒Rさん

州*‘ -‘リ ・・・勉強はあまり得意ではないですが、料理や絵を描くのは好きなようです。

松山市の税理士 山中敏正税理士事務所

1.事業承継とはなに?

 

川*^∇^) <最近事業承継という言葉をよく聞くようになったと思いますが、みなさんいかがですか?

 

州*´・ v ・)<新聞とかでセミナーの広告を見たことがあります。本屋さんに行ってもそういう本が目につきますね。

 

州*‘ -‘リ <?

 

川*^∇^) <反応がイマイチな方もいらっしゃいますが、会社を後継ぎにバトンタッチすることや後継ぎがいない場合には他の会社などに後を継いでもらって会社を存続させることです。

 

州*‘ -‘リ <なんだそんなことか。週刊誌にも書いてありますよ。今回はとりあえず滞りなく承継しましたが、次の××様はふさわしくないのでは?とか××様と▲▲さんのご結婚はどうなるのか?とか

 

川*^∇^) <その辺でストップしておきましょう。(何言い出すかわからないから、こわいな)

 

州*´・ v ・)<お世継ぎ問題は昔からよくありますね。歴史を振り返ってもお家騒動などよくありましたね。

 

川*^∇^) <大体そういうイメージでいいと思います。

 

州*‘ -‘リ <でも何で急に騒がれているんですか?

 

2.なぜ、事業承継について騒がれ始めたのか?

 

川*^∇^) <後継ぎ問題は昔から言われてきましたが、今回は戦国大名ではなくて中小企業の後継ぎ問題です。ここで中小企業とはどれくらいの規模なのか?ということですが、業種によって従業員数の要件が異なっていて複雑です。例えばサービス業であれば「資本金5,000万円以下又は従業員100名以下」となっています。

 

州*´・ v ・)<数字だけではわかりづらいですね。でも多くの会社があてはまりそうですね。

 

川*^∇^) <日本の企業の99%があてはまるそうです。また、従業員が5名以下の小規模企業が全体の9割、小規模企業に雇用される方が雇用者全体の4分の1とも言われています。

 

州*‘ -‘リ <ほとんどの会社が中小企業で中小企業にお勤めの方も多いというわけですね。あまり、数字ばかり言われると眠くなりますzzz

 

川*^∇^) <そういうことです。前置きが長くなりましたがここからが大事ですので、寝ないでくださいね。帝国データバンクの平成28年度の調査ファイルで大変なことがわかりました。

 

州*´・ v ・)<何かわかったんですか?

 

川*^∇^) <まず中小企業の経営者の平均年齢ですが、1995年では47歳だったのが、2015年では66歳だったのです。これは何を意味しているかわかりますか?

 

州*‘ -‘リ <つまり、この20年間で19歳年齢が増えていますね。

 

川*^∇^) <いいところに目を付けましたね。

 

州*‘ -‘リ <この調子でいくと2035年には経営者の平均年齢は85際、2055年には104歳ですね。まさに人生100年時代ですね。

 

川*^∇^) ・・・(鋭いのかよくわからないな。クイズ番組では受けそうだけど、、、)

 

州*´・ v ・)<つまり20年経過しているのに後継者にバトンタッチできずにそのままきているということですね。66歳ならまだ元気でもこのままズルズルといくとどうなるのかわからないですね。

 

川*^∇^) <(さすが!)さらに、2025年に70歳以上となる経営者。つまり2015年では60歳以上の経営者の方は約245万人いらっしゃいましたが、その中の約半分の方が後継者は未定という回答だったそうです。

 

州*‘ -‘リ <ということは最悪127万社の企業がなくなってしまうということですか?

 

川*^∇^) <そうです。その結果650万人の雇用が失われるとのことです。

 

州*´・ v ・)<ただでさえITの進化による業務効率化で職を失う人が増えると言われているのに大変なことになりますね。

 

川*^∇^) <現在は人手不足とも言われてますし、ITの進化でどうなるのかはわかりませんが気付いたときには取り返しがつかないかもしれません。

 

州*‘ -‘リ <でも企業を存続させることだけに重点を置いて手厚く保護していたのでは国際競争に負けてしまいますよ。後継ぎが未定という理由として「自分のときはよかったけど、今後は生き残れないだろう。自分の代で終わりにしよう。」と考える方が多いからではないですか?

 

川*^∇^) <確かにそのように考えている方もいます。ところが他の企業にはマネのできない高い技術があって業績も良いのに、後継者がいなくてやむを得ず廃業という方も多いのです。日本総研株式会社が全国578の産地を対象に倒産・廃業の理由の調査をおこないました。その結果、1位は「国内需要低迷による業況の悪化70.6%」で2位が「後継者不在65.4%」でした。複数回答可だったので、合計すると100%を超えてますが。

 

州*´・ v ・)<業績も良く、他社にはない技術やノウハウがありながらも後継者がいないためにやむなく廃業した企業が多いということですね。この理由による廃業は事業承継がうまくいけば廃業せずに済んだ可能性が高いですね。

 

川*^∇^) <そうですね。高い技術などがありながら廃業ということは地域経済だけでなく、我が国にとっても大きな損失なのです。

 

州*‘ -‘リ <でもそんな良い会社なのに、例えばお子さんとか親戚の方とかは、なぜ後を継ごうとしないのですか?

 

川*^∇^) <理由はいろいろとあると思います。例えば地方出身のお子さんが都会の大企業にお勤めだったとします。大企業だから安心という時代ではないのですが、会社の経営は非常に難しいと思います。昨年まで業績が好調だったのにちょっとした判断の誤りで倒産してしまうこともあります。また、近年は災害も多いです。会社経営はうまくいけば多くの収入を得ることができますが、失敗すると大変です。その点サラリーマンであればある程度収入は安定しています。住宅ローンなどがあれば安定の方を求める方も多いでしょう。

 

州*´・ v ・)<経営者としての才能と社員として優秀というのとでは異なりますよね。名選手が必ずしも名監督になるとは限らないのと同じですね。

 

川*^∇^) <そういった場合には例えば番頭さん的な役割の方に後を継いでもらうということも考えられます。ただし、今日バトンを渡して明日から社長をやってねというわけにはいかないでしょう。番頭さんなら会社のことをある程度わかっているので比較的短期間でバトンタッチはできるかもしれません。

 

州*´・ v ・)<例えば都会のお子さんが帰ってきて後を継いでくれるとなった場合だと、もっと時間はかかりますね。この場合にはバトンタッチまでどれくらいの時間がかかりますか?

 

川*^∇^) <一般的に後継者としてバトンタッチするまで5年ほど、その後完全に経営を任せられるようになるまではさらに5年ほどで計10年と言われています。

 

州*‘ -‘リ <2015年当時で経営者の平均年齢が66歳なら2019年なら69歳くらいかもしれませんね。そこから10年かかるとすると一刻も早く準備をしなければ大変ですね。

 

川*^∇^) <650万人の雇用が失われてしまう可能性もあるため緊急で対応しなければならないと思います。

 

州*´・ v ・)<事業承継を進めなければならない理由がわかりました。でも、何か「事業承継税制を利用する得とですよ!」とか「事業承継税制を利用しないと損ですよ!」と煽ってビジネスにしているのではないかと疑ってしまうんですよね。

 

川*^∇^) <どのように感じているのかはわかりませんが、雇用の喪失や大切な技術の承継がおこなわれないという点を丁寧に説明する必要があるかもしれませんね。技術の承継というとピンとこないかもしれません。例えばとても美味しいラーメン屋さんがあったします。後を継ぐ人がいないので廃業となるともうあの美味しいラーメンを食べることができないんだというようにイメージしてはどうでしょうか?料理も大切な技術の一つですからね。

 

州*‘ -‘リ <ラーメンの話が出てきたので急にお腹が減ってきました。ラーメンは味噌に限りますね。

 

州*´・ v ・)<私は醤油ですね。

 

川*^∇^) <ここでお昼休憩しましょう。

第二回へ続きます。

松山市の税理士 山中敏正税理士事務所 松山市の税理士 山中敏正税理士事務所

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