なぜ年末調整で所得税が戻ってくるのか?

現在、会社で給与の計算を担当されている方は年末調整で大変お忙しいことと思います。
最近は給与ソフトで計算されている会社も多いと思われますが、それでも従業員の方が多ければ相当大変でしょう。
今回はなぜ年末調整が必要なのかということと、年末調整で所得税が戻ってくる理由について説明したいと思います。
所得税は一年間の所得を基に計算されます。しかし、給与明細をご覧になられるとおわかりになるかと思いますが、給与からは健康保険料や厚生年金、雇用保険、住民税などとともに所得税が控除されて手取額となっています。
ここで控除されている所得税はその月の給与の額及び前年の年末調整の際に提出された「扶養控除等申告書」の内容を基に計算されています。
「毎月きちんと計算されているなら年末に調整とかしなくていいんじゃないの?」という疑問が生じるかと思います。
毎月の所得税の計算で扶養親族の数などは考慮されていますが、正確な所得税の計算においては他にも考慮すべきことがいろいろあるわけです。
年末調整の前に上でも名前が出てきました「扶養控除等申告書」とあわせて「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という書類を提出されているかと思います。これはその年に生命保険料や地震保険料を支払った場合などにその支払額を記載して提出するものです。
生命保険料や地震保険料などを支払った場合には所得税の計算において税金が減額されます。毎月の給与から控除される所得税についてはここまでは考慮されていません。
つまり、毎月の給与から控除されている税額はあくまでも仮の税額であるため、一年間の給与が確定した年末において正確な所得税を計算し直し、控除額が正確な金額より多ければその分が戻ることとなります。
年末調整で戻るパターンが多いのですが、逆に追加が発生することもあります。
例えば、お子さんがいらっしゃる場合でそのお子さんが今年の3月末で学校を卒業し4月から社会人となって扶養親族でなくなった場合などです。前年の年末調整の時はまだ学生さんであったため扶養親族として「扶養控除等申告書」を提出しています。毎月の給与から控除する所得税の計算ではお子さんを扶養親族に含めて計算しますので、税金が少なめに計算されています。
年末調整ではその年の1231日の現況で計算しますので、毎月の給与から控除された所得税が少なければ追加で徴収されることとなります。この場合は残念ながら年末調整で税金は戻ってこないことも起こります。
長々と書いてしまいましたが、まとめると「毎月の給与から控除されている所得税は概算額だから年末に正確な税額を計算し直し、その結果によって税金を戻したり追加で徴収したりする」ということです。
最後にあと少しだけお付き合いください。年末調整の時の提出書類ですが、「扶養控除等申告書」は平成30年で「給与所得者の保険料控除申告書」は平成29年となっています。
一瞬間違いかな?と思われるかもしれませんが正しいです。
「保険料控除申告書」は今年の年末調整での所得税の計算で使用しますが、「扶養控除等申告書」は来年1月からの給与から控除する所得税を計算するのに使用するからです。
今回はこの辺でお開きにしたいと思います。ありがとうございました。

 

 

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