相続税対策としての生前贈与活用法 その2

前回に続いて相続税対策としての生前贈与の活用についてご説明します。
1.教育資金の一括贈与の非課税
父母又は祖父母から子や孫に金融機関や証券会社で一定の契約を結んだ場合に1,500万円までは贈与税が課税されない制度です。ただし、贈与者が亡くなった時に受贈者が23歳以上であるなどの場合は使い残しは相続財産に足し戻されます。また、受贈者が30歳になった時にも残額に贈与税が課税されます。昨年の改正までは贈与者が亡くなった時に残額を足し戻す必要がなかったので、直前の対策としては効果もありましたが、改正によりいくらか制限されました。
受贈者が幼い場合などは23歳までに期間があるので足し戻しにならないような設計も可能かと思います。改正前よりは制限された部分もありますが状況によっては使い道もあります。
この制度は一括して贈与をする制度です。必要な時に必要額を贈与するのであればそもそも贈与税は課税されませんので、わざわざこの制度を使う必要もないかと思われます。
2.結婚・子育て資金の贈与
この制度も教育資金の贈与の制度と似ています。父母又は祖父母から20歳以上50歳未満の子や孫に金融機関等での一定の契約のもとに贈与を行った場合は、1,000万円までは贈与税が課されない制度です。教育資金の贈与との違いは贈与者が亡くなった時には受贈者年齢に関わらず残額が足し戻されることと受贈者が50歳になった時に残額に贈与税が課される点です。
相続税の直前対策としてはほとんど使えないかと思います。
3.相続時精算課税制度
この制度は贈与税の非課税ではなくて相続時まで課税を繰り延べる制度です。最近は少なくなりましたが、以前は贈与分が節税になると勘違いされる方が多かったようです。もともと相続財産が基礎控除以下であれば贈与税がかからずに財産を渡すことができますので、そのような場合には使える方法かと思います。
以上、生前贈与の方法と相続税対策についてご説明しました。効果としては前回ご説明した方法の方があるかと思われます。また、活用にあたっては贈与者の老後資金などについても考えておく必要があります。相続税対策はできたものの施設に入所するお金が無くなってしまったということにでもなれば本末転倒です。
当事務所では老後資金の目安を参考にした総合的な相続税対策のご提案を行っておりますので、相続税についたご不安のある方はお気軽にご相談ください。

松山市の税理士 山中敏正税理士事務所

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