消費税の軽減税率制度の影響 農業・林業・漁業の方

    以前農業等を営まれている方がJAや市場に出荷する際の変更点の解説を行いました。今回はもう1つの大きな改正点を説明致します。
1.簡易課税の事業区分の変更
この改正は簡易課税を選択されている方についてのものです。改正前までは農業、林業、漁業(以下、農業等と言います。)の事業区分は第三種事業に該当し、みなし仕入れ率は70%でした。
今回の改正で農業等を営まれている方の売上で飲食料品に該当し、軽減税率が適用されるものについては第二種事業に該当し、みなし仕入れ率は80%となります。
例えば林業の場合、松茸などの天然きのこを採取して販売事業は食料の販売になるため、第二種事業に該当し、みなし仕入れ率は80%となります。一方、伐採した木材を販売する事業は、飲食料品の販売ではないので、第三種事業のままとなります。
決算申告などで10月以降分は標準税率分と軽減税率分とに区分しますが、簡易課税の場合はみなし仕入れ率も変わるということです。
2.なぜ軽減税率分はみなし仕入れ率は80%となるのか?
農業等を営まれている方の仕入れや経費の多くは標準税率適用のものだと思われます。8%から10%に引き上げられたことにより先に支払った消費税は9月までの分と比較すると1.25倍になります。一方売上にかかる消費税は8%のままのため1倍です。原則課税であれば申告でその分精算されますが、簡易課税ではかなり不利になります。そこで、みなし仕入れ率を70%から80%に上げることで調整しようというものです。80%’÷70%=1.14倍で、1.25倍には届いてませんが改正前よりは負担が緩和されます。仮に第一種事業の90%にまで上げると1.28倍となり1.25倍を超えてしまうので第二種事業の80%にしたものと思われます。
3.まとめ
今回の改正によって9月までと10月以降とに会計期間がまたがる場合には標準税率と軽減税率をきちんと区分することが重要です。

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